効率的に生やすための知識〜髪の毛のメカニズム〜
髪の毛を短期間で生やして“モテないハゲ”を卒業するためには、効率的な育毛が必要です。そのためにも「髪の毛の構造」と「発毛メカニズム」についても学んでおきましょう。
髪の毛は人間の体の一部、言いかえれば、「髪の毛は生き物」です。私たちの外見や性格が一人一人違うように、髪の毛の性質も一人一人違うのです。その人の髪質や成長段階に応じた育毛を行うことにより、効果は大きく向上します。逆に間違った体質に合わない育毛を行うことは、ハゲを促進してしまう場もあります。
髪の毛について知ることは、ハゲの原因を探るヒントにもなります。髪の毛の正しい知識を学び、自身にとって最適で効果的な育毛方法を探せるようにしましょう。
髪の毛の構造
実は髪の毛は皮膚が変化してできものです。そのため、構造も皮膚と非常に良く似たつくりになっています。ただし、皮膚と異なる点が2点あります。それは「知覚神経がない」ことと、「自身では再生しない」ことです。
頭皮は知覚伝達神経が発達しているので、美容院で美容師さんに髪の毛の触れられるとすぐにわかりますよね。対して毛髪はハサミで切られても痛みを感じません。これはもともと同じ器官だったとしては大きな違いです。それゆえ、カラーリングや紫外線で髪の毛が痛んでいても、自分ではそのダメージに気づくことができないので注意が必要です。
そしてまた、ダメージを負った髪の毛は回復することができません。キレイな髪の毛を取り戻すには、一度痛んだ部分を切り、新たな髪の毛が生成されるのを待つしかないのです。ですので、生えている髪の毛は大切にしないといけませんね。
髪の毛は大きく二つに構造を分ける事ができます。頭皮から外側の「毛幹部」と内側の「毛根部」です。
毛幹部
毛根部は外側から「キューティクル」「コルテックス」「メデュラ」という3層構造にてなっており、いずれの層もタンパク質が主な構成成分となっています。
キューティクル
毛根部の一番外側の3層の中で一番固い層です。魚の鱗のように小さな一枚一枚が重なり合って全面をコーティングしています。
コルテックス
3層の真ん中にある層で髪の毛の80〜90％を占める主要部分です。タンパク質で組成されているのですが、線維構造で一本一本が規則正しく配列しているため、非常に強度が高いです。髪の毛の色を決めるメラニン色素もここに存在するため、コルテックスの性質によって髪の毛の色も変わってきます。
メデュラ
3層の中心にあるのがこのメデュラで、タンパク質と糖質から組成されています。現代医学ではメデュラの生物学的な存在意味ははっきりしていません。ただ、男性型脱毛症の方はメデュラが切れていたり、髪の毛の弱い赤ちゃんはメデュラが存在しなかったりするため、髪の毛の太さ・強度に何かしらの影響を与えているのではと考えられています。
毛根部
髪の毛の頭皮内側の毛根部は、根元に「毛球」という髪の毛の製造工場部分があります。その毛球を「毛包」が刀の鞘のようにして包んでいます。
毛球の中には「毛母細胞」がたくさん詰まっています。この毛母細胞は、「毛乳頭」という毛球の下部にある器官によってコントロールされ、細胞分裂を繰り返して新しい髪の毛への変化していきます。
「毛乳頭」は、頭皮周辺に張り巡らされた毛細血管から養分や酸素を取り込み、毛母細胞へと供給します。そして、毛母細胞に細胞分裂の指令を出すのです。この毛乳頭の働きが弱いと、毛母細胞は新たな髪の毛を作り出すことができず薄毛の招くのです。
ヘアサイクル（毛周期）
人間の髪の毛は無限に成長し続けるわけではなく、「発毛→成長→脱毛→休眠」を繰り返して一定量を維持しています。この1本の髪の毛が生えてから、抜けおちるまでの周期のことを「ヘアサイクル（毛周期）」と言います。
人間の髪の毛は、約10万本生えていると言われます（個人差があり、年齢や生活環境によっても変動します。）。1日に約0.3〜0.5mm程度成長し、約50〜100本程度の髪の毛が抜けおちます。この成長と脱毛のバランスによって、常時10万本の髪の毛を保っています。
ヘアサイクル（毛周期）は次の3つのサイクルに分類されます。
1.成長期（約2〜5年）
髪の毛の元となる毛母細胞は毛乳頭の指令によって細胞分裂を始め、新しい髪の毛を生成します。毛根側で生成された髪の毛は次々に生成される髪の毛にほって毛幹側に押し出され、渡したの認識する髪の毛になっていくのです。この、毛母細胞が1本の髪の毛を生成し続ける期間の事を「成長期」といいます。成長期は約2〜5年の間続き、髪の毛全体の約80〜90％程度が成長期にあたります。
2.退行期（約2〜3週間）
成長期を経た毛母細胞は、徐々分裂を停止し、髪の毛の成長も止まります。この毛母細胞が細胞分裂を停止する期間のことを「退行期」といいます。退行期は通常2〜3週間続きます。髪の毛全体の約1〜2％が退行期にあたります。
3.休止期（約3ヵ月）
退行期で完全に細胞分裂を停止させた毛母細胞は、また新しい髪の毛を生成する準備に入ります。この、毛母細胞の再度成長期を迎えるための準備期間を「休止期」といいます。髪の毛は休止期に入ると、毛母細胞から徐々に切り離され、約3ヵ月の間に自然に抜けおちます。髪の毛全体の約10％が休止期といわれています。毛母細胞を休ませる休止期は、髪の毛のとって非常に重要な時間です。
髪の毛はこのヘアサイクルを繰り返して常時約10万本を維持しています。知っておいて欲しいのは、その10万本のうち10％にあたる約1万本はいつ抜けおちてもおかしくない髪の毛であるということ。また、1日のうちで50〜100本程度は抜け毛があって当然ということです。
洗面所に落ちている抜け毛を見ると、そのたびに落胆しているかもしれませんが、正常なヘアサイクルを辿っていれば抜け毛があって当然なのです。
しかし、なかには何かが原因で十分な成長期を確保することができず、退行期・休止期に早い期間で突入する毛根があります。また、休止期に入ったまま成長期に移行せずに、発毛しない毛根もあります。ヘアサイクルのバランスが乱れ、新しく生えてくる髪の毛の本数が、抜け毛の本数を上回っている状態がハゲを招くのです。ハゲてしまう個々の原因は「ハゲの原因とその対策 〜嫌われない方法〜」を参照してください。
育毛を始めてからハゲが解消するまで、ある程度の時間は必要です。しかし、「正しい育毛をしている！」という自覚は、大きな自信にもつながります。堂々と潔いハゲになるためにも、髪の毛の成長状態をしっかりと把握して、正しい育毛方法を選択できるようになりましょう！
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